がん支持療法・緩和ケア科
現在日本では2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで亡くなっています。がんはいまや寿命に関わる国民病といえるでしょう。背景には平均寿命が女性87歳、男性80歳と人口分布が高齢化したことがあり、実際に増加したのは高齢者のがん患者です。それまで積極的治療一辺倒であったがん医療において治療方法だけでなく、個々の生活の中で療養していくために様々な問題に対応する必要がでてきました。そして、ホスピスに代表されるような終末期医療であった「緩和ケア」ががん医療の充実のためにクローズアップされました。平成29年10月に決定されたがん対策推進基本計画(第3期)には、患者本位のがん医療の実現のために支持療法(がん治療の副作用、後遺症対策という狭義の意味)の推進、尊厳をもって安心して暮らせる社会の構築のためにがんと診断されたときからの緩和ケアの推進が提唱されました。
当院緩和ケアの歴史
当院では2003年から院内医療チームの一つとして積極的に活動してきました。当時の緩和ケア対象患者は退院もおぼつかないような深刻な状態のがん末期患者で身体の痛みや苦痛のコントロールがその主な役割でした。その後時代の要請とともに緩和ケアは発展し変化してきました。麻薬など薬剤の進歩だけでなく、ケアの方法、そして根本的な緩和ケアの考え方が変わりました。身体の痛みや苦痛の治療だけでなく、心の問題(スピリチュアルペインといいます)、社会環境的問題(就労の問題、経済的問題、家族関係の問題など)へも積極的に支援して行くことです。それは、病気そのものではなくがんに患った中での生活に焦点をあてて「がんになっても自分らしい生き方をしていく」ためです。
一方でがん治療も進歩し、再発後の化学療法や放射線治療もさかんに行われるようになったことで治療中の患者を多面的に支えて行く必要がでてきました。そして緩和ケアの対象は、がん末期患者だけでなくがんの治療中またがんと診断された患者となり、さらにその家族に広がました。がんだけでなく命に関わるような状況が予測されるすべての患者もその対象となりました。昨今は高齢者への医療にこれまで培われてきた生活を支えるという緩和ケア的な見方が応用されています。高齢化社会の中でますます需要が高くなるがん治療や高齢者医療において緩和ケアは治療・療養のために不可欠なものになりました。
一方でがん治療も進歩し、再発後の化学療法や放射線治療もさかんに行われるようになったことで治療中の患者を多面的に支えて行く必要がでてきました。そして緩和ケアの対象は、がん末期患者だけでなくがんの治療中またがんと診断された患者となり、さらにその家族に広がました。がんだけでなく命に関わるような状況が予測されるすべての患者もその対象となりました。昨今は高齢者への医療にこれまで培われてきた生活を支えるという緩和ケア的な見方が応用されています。高齢化社会の中でますます需要が高くなるがん治療や高齢者医療において緩和ケアは治療・療養のために不可欠なものになりました。
がん支持療法・緩和ケアの新設について
当院でも幅広い緩和ケアの需要に呼応するため2018年4月から緩和ケアに特化した診療科を立ち上げました。「緩和ケア」という言葉からはこれまでの治療できないまた治療を終えたがん末期患者の終末期医療というイメージがどうしても想起されます。われわれの行って行くこれからの緩和ケアは治療に伴走して生活を支えること、その先にたとえ治療が終わっても続いて行く生活を支えることです。その先の死を見据えて揺れ動く気持ちに寄り添うことを大切にしつつ・・そのことをご理解いただくために終末期というイメージが強い「緩和ケア」にあえて「支持療法」というまだ耳慣れないであろう言葉を付与しました。ただし、当科の「※支持療法」は前述した狭義の意味よりも広い意味があります。PDQ®(Physician Data Query®、米国国立がん研究所(NCI)が配信する、世界最大かつ最新の包括的ながん情報サービス)日本語版では、以下のように定義付けしています。
※支持療法(しじりょうほう、supportive care)とは、がんなどのような重篤な疾患や生命を脅かすような疾患を抱えている患者の生活の質を改善するために行なわれる治療、ケアのこと。 もしくはその疾患の治療で出てくる副作用を軽減するために行なわれるものもある。一般には、疾患の症状、疾患の治療による副作用、ならびに疾患やその治療に関係した心理的、社会的、霊的な問題を軽減することである。
じつは、この文言は2002年に世界保険機構(WHO)が提唱した緩和ケアの定義とほぼ同じものです。広義の支持療法と緩和ケアは同義でありますが、イメージとしてどちらが患者や医療従事者にとって受け入れやすいかという点では支持療法の使用が流行ってきています。(やがて「緩和ケア」という言葉は、辛さへの寄り添いという人の尊厳を大事にする医療が浸透して行く中で当たり前のこととなり言葉自体がその役割を終える時が来るかもしれません。)
静岡赤十字病院のがん支持療法・緩和ケア科は、病を患う皆様の辛さに寄り添い、日々の生活の中で少しでも心の支えになるように尽力して参りたいと思います。
※支持療法(しじりょうほう、supportive care)とは、がんなどのような重篤な疾患や生命を脅かすような疾患を抱えている患者の生活の質を改善するために行なわれる治療、ケアのこと。 もしくはその疾患の治療で出てくる副作用を軽減するために行なわれるものもある。一般には、疾患の症状、疾患の治療による副作用、ならびに疾患やその治療に関係した心理的、社会的、霊的な問題を軽減することである。
じつは、この文言は2002年に世界保険機構(WHO)が提唱した緩和ケアの定義とほぼ同じものです。広義の支持療法と緩和ケアは同義でありますが、イメージとしてどちらが患者や医療従事者にとって受け入れやすいかという点では支持療法の使用が流行ってきています。(やがて「緩和ケア」という言葉は、辛さへの寄り添いという人の尊厳を大事にする医療が浸透して行く中で当たり前のこととなり言葉自体がその役割を終える時が来るかもしれません。)
静岡赤十字病院のがん支持療法・緩和ケア科は、病を患う皆様の辛さに寄り添い、日々の生活の中で少しでも心の支えになるように尽力して参りたいと思います。
連携医療機関の先生方へ
がんを患う患者、家族の生活の安心のためには病診連携を基軸にした地域包括ケアの支援体制が大切です。がん支持療法・緩和ケア科はがん患者の地域連携の窓口としてご活用頂ければと考えております。
医師会の先生方には、かかりつけ医として診療していた患者ががんに罹ったときの相談やバックアップ体制の構築をお手伝いいたします。また、当院以外の総合病院の先生方には、貴院でがん治療を受けた患者についてその後の緩和ケアや在宅療養の調整について協力いたします。もちろん地域包括ケアに携わっているケアマネージャー、訪問看護師の先生方からの相談も受付けます。
静岡市のがん患者の安心ために地域全体の向上を目指して協働していく所存ですのでお気軽に連絡ください。
医師会の先生方には、かかりつけ医として診療していた患者ががんに罹ったときの相談やバックアップ体制の構築をお手伝いいたします。また、当院以外の総合病院の先生方には、貴院でがん治療を受けた患者についてその後の緩和ケアや在宅療養の調整について協力いたします。もちろん地域包括ケアに携わっているケアマネージャー、訪問看護師の先生方からの相談も受付けます。
静岡市のがん患者の安心ために地域全体の向上を目指して協働していく所存ですのでお気軽に連絡ください。