臨床研修ブログResident blog

栗本カンファレンス第2回目

2018年7月17日

 総合内科の松本です。先日2018年6月25日月曜日に今年度第2回目の栗本カンファレンスが開催されました。今回は“プロブレムの展開”について御講義いただきました。前回の続編です。正しい展開は集合をより限定的特定集合へと狭めていくことであり,展開先の名称が上位集合を外れることはないという原則事項について具体的な事例を挙げて説明していただきました。
 低色素性貧血→鉄欠乏性貧血は正しい展開ですが,低色素性貧血→胃潰瘍は低色素性貧血という集合の中に胃潰瘍は存在しないので誤った展開となります。この場合には#1低色素性貧血→鉄欠乏性貧血→鉄欠乏性貧血(#2) #2胃潰瘍と併記する,または#1を#2に包含する形になります。貧血の患者で胃潰瘍が判明すると#1低色素性貧血→胃潰瘍とやってしまいがちですが,これを許容していくと何でもありになってしまい,正確な病態認識ができなくなっていくのです。私も痛感しているのですが,一つ一つの認識が曖昧なために誤りを認識できないことが多く,日々格闘しています。こちらの講義PPTは,当科のページに掲載しておりますので興味のある方はぜひご一読ください。 
 今回のカンファレンス症例は,食欲低下で入院した72歳男性。症例呈示者のプロブレムリストは#1高血圧症 #2気管支喘息 #3痴呆症 #4急性多発ニューロパチー→好酸球性多発血管炎性肉芽腫症。
 当科カンファレンスでは参加する初期研修医の先生達も各自プロブレムリストを作成します。そこでは神経学的異常に対して,多発ニューロパチー,末梢神経障害,多発神経炎といったプロブレムがそれぞれのリストに挙げられました。各々の“多発”の意味を確認し,この神経所見はmono neuropathy multiplexかpolyneuropathyかという事が話題になりました。Polyかmultiかには病態が含まれる大きな違いがあるため,自分の認識を明確にし,その認識にあった正しい用語を使用する事の必要性が少し実感できたのではないかと感じました。言葉に敏感であることの重要性(これは医学診療に限りませんが)を私自身も再認識いたしました。
 なお,当日の栗本先生のプロブレムリストは#1高血圧症 #2高脂血症 #3dimetia #4Acute mono neuropathy multiplex #a好酸球増多症でした。

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