しずおか日赤メールマガジンMailmagazine blog

連日35℃越えの酷暑が続いております。
皆様どうぞご自愛ください。
現在2024パリオリンピックが開催されていますね。東京オリンピックから早いもので3年。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い無観客で行われました。選手の声や息づかいなど
感じられる新鮮な観戦となったのを思い出します。
今回のパリでは32競技329種目が予定されています。早速8/3・4の週末には、人気種目の
卓球、柔道、競泳などの決勝戦が行われます。熱気に満ち溢れた週末になりそうです。
それでは、メールマガジン第 228号をお届けいたします。
引き続き温かいご支援を賜りますよう、どうぞ宜しくお願いいたします。

先月号に引き続き、消化器内科副部長 杉山医師に教えていただきます。

初期段階では自覚症状のない大腸がんは定期検診による早期発見・早期治療が最も大切。近年の医療技術の発展により、検査や治療に使う内視鏡（大腸カメラ）も大きく進化しより安心して治療が受けられるようになっています。

国内で1年間に新たに大腸がんと診断された人数は、2019年のデータで男性約9万人、女性約7万人。臓器別のがんとして考えると男女ともに2番目に罹患者が多く、死亡者数でも上位に入ります。
その一方で大腸がんは、早期に治療を行えば高い確率で根治できる病気。早期段階では自覚症状がなく、また40歳から年齢があがるにつれて増加するため、40歳以上の方は定期的に便潜血検査を受けることが推奨されます。

異常が発見された場合、下部消化管内視鏡検査（大腸カメラ）による精密検査が行われるのですが、近年内視鏡の性能は大きく進化しています。当院ではオリンパス社の最上位内視鏡システムをはじめ、スコープなどにも常に新機種を取り入れています。この装置では画質の向上に加えて、TXIという新しい画像強調技術が使用できるようになっています。内視鏡検査でポリープが発見された場合は悪性度を詳細に評価し、大腸がんと診断された場合には進行度に応じた適切な治療法を選択します。

大腸表面には粘膜があり、その外側は筋肉になっています。粘膜と筋層の間には粘膜下層と呼ばれる脂肪の層があり、根が進む程度がこの粘膜下層までの大腸がんは「早期大腸がん」と呼ばれます。
早期大腸がんは、多くの場合内視鏡で切除することが可能（図1）。切除方法には内視鏡的ポリープ切除術（ポリペクトミー）、内視鏡的粘膜切除術（EMR）、内視鏡的粘膜下層剥離術（ESD）がありますが、中でもESDは、2cm以上の大きな早期大腸がんや、がんの形態から他の方法では完全切除が難しい場合に使われます。ESDでは、がんの周辺と直下に、粘膜を浮き上がらせるための生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムの注射を行い、浮き上がったがんの周囲を電気メスで少しずつ切開します。さらにがんを完全に取り除くために粘膜下層を剥離し、がんの取り残しを防ぎます（図２）。

当院では2019年からESDによる治療を積極的に行っており、現在では市内総合病院の中でも有数の症例数を誇ります。内視鏡処置の適応や切除後の検体について多職種と綿密に検討し、よりよい治療を提供できるよう努力しています。ぜひ安心してお任せください。