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しずおか日赤メールマガジン第208号

2022年11月30日

皆さまいかがお過ごしでしょうか。
この時期は寒暖差があり、体調を崩しがちですが、本格的な冬に備えましょう。
さて、季節外れの出来事と言えば、数号前のメルマガの冒頭でお伝えしたとおり、夏期開催であったサッカーワールドカップが、史上初めて冬期開催となり、11月20日(現地時間)に開幕しました。サッカー界の中心といえるヨーロッパは、通常この時期は各国のリーグ戦の最中であり、開催時期については、未だに賛否両論あるようです。
さて、この大会は、全世界のあらゆる地域から予選を勝ち抜いた32か国が参加しますが、サッカーの世界もグローバル化が進んで、以前のような未知との遭遇はなくなったようです。しかし、それでもジャイアントキリングいわゆる番狂わせが起こるところがサッカーの醍醐味の一つでもあります。日本代表の第1戦目は、幸先の良いスタートとなりました。今後も熱い戦いに期待しましょう。
それでは、メールマガジン第208号をお届けいたします。

早期の緩和ケアががん治療の可能性を開く
知っておきたい「がん悪液質」

先月号に引き続き、がん支持療法・緩和ケア科 安達光生医師からお話をうかがいます。

進行がん患者の5~8割にみられる「がん悪液質」
悪液質(cachexia)とは「悪い状態」を意味するギリシャ語が語源で、全身が衰弱した状態を表します。心臓病や腎臓病、慢性肺疾患などでもみられますが、特にがんによるものは「がん悪液質」と呼ばれます。
がん悪液質とは、がんが体に及ぼす作用によって筋肉や脂肪がどんどん減ってしまうことで、進行がんの5~8割にみられます。特に膵臓がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、肺がんで起こりやすく、これらのがんでは患者さんの半数以上にがん悪液質が起こっています。
がん悪液質では体重減少、食欲不振、倦怠感、サルコペニア(筋肉量の減少や筋力の低下)といった症状が生じます。また、手術や放射線療法、抗がん剤といった治療によるストレス、治療の副作用である口内炎や吐き気・嘔吐、味覚や嗅覚障害、さらにうつ状態や体の痛みなど、様々な要因が原因となって悪液質を進行させることがあります。
わかってきたメカニズム、原因はがんによる代謝異常
がん悪液質で体重が減るのは、がんによって慢性的な炎症が起こり、体を守る免疫反応として炎症性サイトカインと呼ばれる物質が活性化、これにより脂肪や筋肉の代謝異常が起こるため。またこの炎症性サイトカインや脂肪細胞から分泌される物質の作用で脳の食欲中枢が抑えられて食欲が減退。このようにしてますます体重減少が加速していきます。
悪液質にも進行度を表すステージがあり(図1、2)、「前悪液質」「悪液質」では治療による栄養状態や代謝異常の改善が可能ですが、「不応性悪液質」に進行して体力が落ちた状態では抗がん剤治療も難しくなり、緩和的治療が中心となります。他方、悪液質の進行を抑えることができれば体力維持につながり、抗がん剤などの積極的治療も続けられるようになります。また治療で症状がさらに軽減されれば余命の改善も期待できます。
がん早期からの緩和ケアがQOLの向上につながる
このように、患者さんが自分らしい生活とともにがんの治療を続けるには、できるだけ前悪液質の段階で栄養療法、運動療法、薬物療法などを組み合わせた治療を始め、急激な体重減少を防ぐことが重要になります。
がんやその治療に伴う苦痛や心のつらさを和らげる治療は「支持療法」「緩和ケア」と呼ばれますが、これらは必ずしも終末期医療に限ったものではありません。患者さんのQOLを維持しながら治療を続けるには、がんの診断早期からこうしたケアを積極的に受けることも大事になってくるのです。

栄養課考案!簡単クッキング 
めんつゆで味付け「ローストチキン」

クリスマスに簡単ローストチキンでテーブルをかざってみてはいかがでしょうか

【材料2人分】
・鶏もも肉 1枚
・めんつゆ(濃縮2倍タイプ) 大さじ1
・生姜汁 小さじ1
・おろしにんにく 1かけ分
・付け合わせのお好み野菜
【作り方】
①鶏もも肉にめんつゆ、生姜汁、にんにくすりおろしを絡めて2時間程度漬ける。
②グリルで焼き目を付けたらアルミホイルを被せて約10分焼く。(肉に火が通るように時間は調整してください)
③お好み野菜とお皿に盛り付ける。

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